相続人が「配偶者」「子およびその代襲相続人」「直系尊属」であれば、最低限の遺産を確保できる遺留分について、遺留分侵害額請求をすることができ、法律が定める範囲で相続財産を確保できます。
従来「遺留分減殺請求」と言われていましたが、相続法の改正で内容が整備されました。ただし遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害する遺贈などがあったことを知ったときから1年、相続開始から10年と、短期間で消滅します。
遺留分については、令和2年の法改正まで、個々の相続財産ごとに遺留分割合の権利があるとして、不動産も民法の定める遺留分の割合で共有するとされていました。
令和2年4月の改正では、遺留分は金銭で評価し、「遺留分侵害額請求権」という金銭債権として請求する権利されました(民法1046条1項)。
また遺留分侵害額請求をしたものの、ただちに一括で支払うことができない場合には、遺産がすぐに現金化できない不動産のような場合には、裁判所に支払いの猶予期限を許与してもらうことも認められました。
生前に親から贈与を受けた場合には、死亡後に特別受益を主張されたり、あるいは遺留分を侵害されたとして、請求を受ける可能性があります。
もっとも、令和2年4月の法改正により、遺留分を侵害されたか否かを算定する対象となる贈与は、相続開始前の10年間にされたものに限定されました(民法1044条3項)。したがって、相続開始の15年前の贈与であれば、遺留分侵害額請求を受けることはありません。