辞職と退職願は違いますか。
「辞職」とは、労働者の側から、一方的な意思により、労働契約を終了(解約)させることです。辞職の場合は、会社が承諾するまでもなく、労働者の意思表示だけで直ちに効力が生じるため、原則として撤回できません。
「退職願」は、労働契約の合意解約の申込みなので、労働者の退職の意思表示(退職願)を使用者が承諾してから労働契約関係が解消されます。なので、退職願は撤回の余地があります。
判例は、「辞職」か「退職願」かの判断は、慎重に行うべきであるとしており(大通事件 大阪地裁平成10年7月17日)、原則として撤回の余地のある「退職願」であると判断しています。
しかし、退職願も会社側が受理すれば合意解約が成立し、原則として撤回が許されません(大隈鉄工所事件 最高裁昭和62年9月18日)。もっとも例外的に撤回を認める判例もあります。
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