解雇権濫用法理の他に、法律で解雇が制限される場合がありますか。
労働契約法16条以外にも、次のような解雇禁止規定が実定法上規定されていますので、使用者側も十分注意して下さい。
① 解雇予告や解雇予告手当の手続きをしないで行われた解雇(20条)
② 労災休業期間及びその後30日間の解雇禁止(労基法19条)
③ 労働組合の組合員であること・組合への加入・結成・正当な組合活動による解雇の禁止(労組法7条1号、憲法28条)
④ 女性の婚姻・妊娠・出産等を理由とする解雇(雇用機会均等法9条2項・3項)
⑤ 産前産後の休業期間中やその後30日間における解雇(労働契約法19条)
⑥ 監督機関への申告権行使に対する報復的解雇(労働基準法104条2項)
⑦ 育児・介護休業の取得を理由とする解雇(育児介護休業法10条・16条)
⑧ 内部告発を理由とする解雇(公益通報者保護法3条)
⑨ 労働者が労働基準監督署に企業の不正等を申告したことを理由にした解雇(労働契約法104条)
⑩ 国籍、信条や社会的身分を理由にした解雇(労働契約法3条)
⑪ 業務上の怪我や病気による休業期間や、休業明け30日間の解雇(労働契約法19条)
以上のように、そもそも解雇が認められない場合には、解雇の合理性や相当性を検討するまでもなく解雇が違法無効となるので、注意が必要です。
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