職場で従業員が新型コロナに感染した場合に、使用者は責任を問われるでしょうか。
使用者は、雇用契約に付随して、職場における労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っています。
新型コロナが終息しつつあり、緊急事態宣言が解除されつつある現状でも、第2波のリスクへの注意喚起がなされていることから、現段階でも、下記のような感染リスクと感染経路の情報収集などの措置を適切に履行している必要があります。
- 発症の可能性がある従業員に関する社内の報告・連絡網の確立
- 従業員の体調に関する適時の状況把握(体調・体温報告等)
- 濃厚接触を避ける社内の措置
時差出勤、時短出勤、テレワーク、会議の短時間化、3密制限(1m以上、15分以内)、十分な換気 - 石鹸による手洗いとアルコール消毒
- マスク着用
- 体調不良の従業員に対する休暇取得等の推奨
- 出張の回避
- 職場外での行動の抑制についての注意喚起
職場で従業員が新型コロナに感染した場合、以上の義務を尽くしていない使用者は、安全配慮義務違反として損害賠償責任を負担する可能性があります。
著者について