婚姻20年を切っ掛けに、夫から自宅の生前贈与を受けましたが、夫の死亡後に、特別受益と言われて、相続財産として遺産分割の対象にならないでしょうか。
通常、被相続人の生前に、配偶者に対して財産を生前贈与したり、遺言で遺贈をしていた場合には、遺産分割において、配偶者は既に相続財産の一部の先渡しを受けたものとみなされます。
しかし、婚姻して20年以上たって、夫から現在居住する不動産の生前贈与を受けた場合や、遺言での贈与(遺贈)を受けた場合には、被相続人(夫)は、配偶者(妻)のその後の生活を守る目的で贈与したと考えられ、平成31年7月1日施行の相続法により、①婚姻期間が20年以上の夫婦で、②居住用の建物またはその敷地の遺贈や贈与があった場合、「持戻し」を免除する意思表示があったものと推定することとして、妻が夫から生前贈与を受けた居住用不動産は、当然には相続の対象にならないことになりました。
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