労働基準監督署が対応してくれない労働案件はありますか。
労基署は、労働法規に労基署に関する権限規定の定めがなかったり、労働法令違反かどうかが明確でない労働問題は、積極的に関与しません。また刑事罰のない法違反については、民事不介入として関与をしません。
具体的には、解雇が相当かどうかをめぐる事案や、セクハラ、パワハラをめぐる事案、職場での不平等待遇をめぐる事案の場合には、具体的で微妙な法的判断が必要である上、刑事処分とならないことから、なかなか関与しません。
これらの事案をめぐっては、裁判所に対して労働審判や訴訟を求めることになります。
また残業代トラブルについても、残業の有無や正確な労働時間の計算、残業代の計算が必要なため、原則として労基署は関与しません。ただし賃金すら払われない場合や、契約内容と実際の労働条件が違う場合、長時間残業で健康被害を招く危険がある場合であれば、労基署が積極的に関与します。
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