会社は、従業員を自由に解雇できますか。
できません。民法672条1項は、期間の定めのない雇用契約について、「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と規定し、労働者からの退職の自由と使用者の解雇の自由の両方を定めています。
しかし、使用者から解雇は、労働者の生活に重大な影響を与えるため、労働者保護の観点から、民法の原則が修正され、労働法上、解雇権は制約が課されています。具体的には、労働契約法16条が「解雇権濫用法理」を規定し、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」としています。したがって、解雇が有効とされるには、次の②要件が必要です。
① 解雇に客観的に合理的な理由があること(客観的合理性)
② 解雇が社会通念上相当であること(社会的相当性)
解雇権濫用法理は、日本食塩製造事件判決(昭和50年4月25日)、高知放送事件判決(昭和52年1月31日)などの最高裁判所が出した判例法理を法令化したものです。
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