別居の年数だけで離婚が認められるわけではありません。別居継続により婚姻関係を継続できないと認められるかによります。
5年別居していても、一方的に別居をした配偶者が離婚を求める場合や、相手が離婚を拒んでいる場合には、認められないことがあります。5年別居を離婚事由としたのは、平成8年の民法改正試案によるものですが、法改正には至っていません。
むしろ短期の別居期間でも、夫婦双方にやり直しの意思が見られない場合には、子どもの年齢(未成熟ではないか)、婚姻期間(比較的短期間か)、経済状況(相手が困窮しないか)等を考慮して、離婚が認められる場合があります。また夫婦の一方にやり直したいとの希望が強い場合には、5年以上経過していても、離婚事由は認定されません。
家庭で口をきかない状態が続いているだけでは、婚姻関係が完全に破綻したとは言えず、離婚事由には当たりません。
同じ家の中で、夫婦が別室で居住し、一切接触せず、相手の食事を準備することも、同時に洗濯をすることも、風呂の準備をすることもなく、経済的には公共料金を折半し合う程度の関係しかないような場合には、婚姻破綻を認容した事例がありますが、食事の準備をしてもらっているような場合や、生活費を相手に管理してもらっている場合には、家庭内別居は主観的なものに止まるとして、婚姻破綻が認定されない可能性があります。
家を出てからの別居期間が相当長期にわたれば、悪意の遺棄となる場合もあります。しかし、その間に、生活費を払ってもらっていれば、悪意の遺棄とはいえなくなる可能性もあります。逆に、調停や審判で婚姻費用の支払義務が認められたのに、払ってもらえない場合には、悪意の遺棄となる場合があります。
行方不明になったからといって、生死不明とはいえず、直ちには民法770条1項3号の離婚事由には当たりません。警察への捜索願を出しても、銀行口座からの出金の形跡があるとか、携帯電話の使用の痕跡が見られる場合も生死不明とはいえません。
むしろ、行方不明となって長期に及ぶ場合には、悪意の遺棄(770条1項2号)や、婚姻継続が困難な事由(同項5号)として、離婚を請求することができます。
行方不明の夫に離婚訴訟を提起した場合には、公示送達を経て、夫が出頭しないまま、妻だけの尋問を経て、離婚認容判決となる可能性もあります。
行方不明になると、協議離婚ができません。離婚調停をしても、相手に裁判所からの書類が届かないため、調停での話し合いもできません。
そこで、家庭裁判所に離婚訴訟を提起して、公示送達をしてもらいます。離婚訴訟が始まっても、相手が生死不明ではない限り、770条1項3号の離婚事由には当たりません。警察への捜索願を出しても、銀行口座からの出金の形跡があるとか、携帯電話の使用の痕跡が見られる場合や、電子決済による交通機関の利用の形跡が認められる場合には、生死不明とはいえません。
行方不明となって長期に及ぶ場合には、悪意の遺棄(770条1項2号)や、婚姻継続が困難な事由(同項5号)として、離婚を請求することになります。
離婚訴訟を提起しても、夫が出頭しないまま、妻だけの尋問を経て、離婚認容判決となる可能性もあります。
価値観や思想の食い違いは、個人の内心問題でありにより、相互に尊重すべきものですので、宗教上の理由だけで離婚事由が認められることは原則としてありません。
しかし、宗教問題が生活に大きく支障を及ぼしたり、夫婦相互の関係を極めて悪化させた場合には、もはや婚姻生活を継続できないものとして婚姻関係が完全に破綻していると評価され、離婚が認容される場合があります。
モラル・ハラスメントは、精神的なDVとも言われ、大声でどなる、酷い侮辱をする、一方的に命令する、男尊女卑、人間関係の制限や私生活に介入する、無視して会話をしない、生活費を渡さない等様々な形があります。
モラル・ハラスメントにより、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に至るなど、傷害の程度にまで至れば離婚事由が認められることはありますが、単なる不快、苦痛、侮辱など、そこまで至らない精神的苦痛や不安を与えるレベルであれば、離婚事由は認められません。ただし、その継続性、程度、頻度、その他の夫婦関係を悪化させる事情などと合わせて,客観的に見て、もはや婚姻を継続することが困難とみられる程度に至った場合には、離婚事由が認められる場合もあります。
父親が指定される場合もあります。
親権は、未成年者の法定代理権なので、子どもの円滑な生活のためには、夫婦の離婚後も、子どもと日常的に生活を共にする者、監護をする者が親権者となることが合理的とされます。その意味で、離婚後に未成年者と同居することの多い母親が親権者として指定されることが多いのが実態ですが、父親が子と同居し、離婚後も引き続き監護をする可能性が高く、また未成年者もそれを望んでいるのであれば、父親が親権者と指定されることもあります。離婚後の子の氏にこだわることなく、どちらの親の元で生活をするのかで判断するのが適切でしょう。
年金事務所等で「年金分割のための情報通知書」を取得します。通知書には分割の対象となる婚姻期間や保険料納付記録などが記載されています。
分割の方法として、分割割合(按分割合)を協議し、合意した内容を記載した離婚協議書や公正証書を作成して、年金事務所に年金分割請求の手続を行うことができます。
夫婦間で協議できない場合には、年金分割のための情報通知書を取得して、家庭裁判所に年金分割の調停を申し立てます。調停が成立した場合や、調停が不成立となって審判に移行し、審判が確定した場合には、1ヶ月以内に年金事務所に年金分割請求の手続きを行うことができます。なお、離婚成立後も、離婚日の翌日から2年を経過するまでは、年金分割の調停申し立てができます。
なお、厚生年金であれば年金事務所に、国家公務員共済年金であれば在勤務する役所の共済組合(退職後は国家公務員共済組合連合会)、地方公務員共済年金であれば所属する共済組合に、私立学校教職員共済年金であれば日本私立学校振興・共済事業団に請求してください。
50歳以上であれば、配偶者の年金の加入状況等について、情報の提供を受ける際に、年金見込額の通知を受け取ることができます。
50歳未満であれば、見込み額を知ることはできません。
家事事件には、下記の4分類があります。
(1)調停をせずに審判の申立ができる、別表第1事件(子の氏の変更許可、相続放棄、後見人の選任,養子縁組の許可等の公益に関する事件)
(2)調停が不成立となれば当然に審判移行する、別表第2事件(養育費の請求、婚姻費用の分担、遺産分割、親権者の変更など)、
(3)調停不成立になれば、審判ではなく訴訟をしなければならない、一般調停対象事件(離婚、夫婦関係円満など)、
(4)調停不成立になれば、審判ではなく訴訟をしなければならないが、調停で当事者が合意すれば審判が可能な、特殊調停対象事件(婚姻無効、協議離婚の無効、認知など)
(2)、(3)、(4)は、調停を経ることになりますが、調停手続で、調停合意がほぼ成立したのに、①付随的な条件の食い違いがあるに過ぎない場合、②当事者のいずれか出頭困難で、調停成立できない場合、③慎重な議論により合意が成立したものの、その後自らの意見にこだわって、合意ができなくなった場合、④調停合意に至っていないものの、慎重な議論を経て、ほぼ合意に達している場合には、家庭裁判所が相当と認めれば「調停に代わる審判」ができます。
離婚調停が不成立となる場合、通常は、離婚訴訟を提起しなければなりませんが、上記①~④については、裁判所の職権により、離婚を認定することが合理的であると考えられるためです(家事事件手続法284条1項)。これは、あくまでも裁判所の職権による者であるため、当事者が審判申立をすることはできません。
なお調停に代わる審判に対しては、当事者から2週間以内に異議の申立ができ、この場合には審判の効力が失われ、改めて訴えを提起したり(一般調停対象事件)、審判移行することになります(別表第2事件、特殊調停対象事件)。
離婚に伴う慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償請求の一環であり、離婚原因となった事柄から発生する損害金と、離婚により発生する損害金に区別できます。
いずれの慰謝料も、自ら離婚を求めたから側から請求できることに変わりはありません。
慰謝料は精神的損害に対する賠償なので、金銭で賠償される場合、税金は課されません。しかし、慰謝料としての適正な額を著しく超えていたり、慰謝料としての要素がないと判断される場合には、贈与税がかかることがあります。
ケースによります。精神面で安心感を得たいのであれば、カウンセラーは効果的です。ただ、カウンセラーは、離婚調停や離婚訴訟の代理権を有しませんので、最終的な解決を図るのであれば、弁護士に依頼する必要があります。それであれば、最初から弁護士に相談しておくこともおすすめします。弁護士も、カウンセリング的な業務をすることがあります。
ラブホテルに二人で入っていく現場の写真であれば、不貞をしていると裁判官が推定する可能性はあります。ラブホテルでなくとも、朝、不貞相手の家から出てくる様子の写真や、キスをしている写真では、その頻度により不貞を推定することもあります。
但し、探偵に何度も調査を依頼した写真を裁判で提出する場合には、夫婦間の不信感の強さを裏付ける証拠と認定されて、逆に婚姻関係が破綻しているとされ、慰謝料請求が認められないこともあります。
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