テレワークに向かない職種(エッセンシャルワーカー)には、製造業、物流業、接客業、医療・福祉業等があるとされ、それ以外は一般的に可能とされています。
エッセンシャルワーカーについては、感染リスクが高いこと、労働時間が長いこと、賃金が低いこと、人材が不足していること等の問題がありますが、可能な範囲でテレワーク、時差出勤を実施する企業も増えつつあります。
一旦収束したかのように思われた感染拡大も、急激に再発することがわかっており、今後いつまでコロナ禍が続くのか見通せない状況です。そこで、既に就業規則でテレワークの制度を導入している会社でも、会社の規定を確認し、感染を防止するためのテレワーク等の一層の導入、出勤困難となった場合の対応方法を、使用者側と事前に協議してください。
なお労働安全衛生法により、使用者には労働時間の把握義務があり(同法第66条の8の3)、テレワークであっても、労働時間を管理する必要があります。
また,テレワークや時差出勤が可能であるにもかかわらず、これを行わなかったことが原因で罹患者が出た場合やクラスターが生じた場合には、会社の安全配慮義務違反が問われる可能性もあります。
事業主が社員ごとにテレワークの必要性を判断し、異なる業務命令を発することは、特段問題ありません。
正社員と有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者の待遇差をなくす「同一労働同一賃金」の制度により、正社員ではないという理由で不合理な取り扱いをすることは、違法とされます(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条・9条、派遣法30条)。この点は、大企業でも中小企業でも、同様です。
しかし、派遣社員は、派遣契約で就業場所が特定されています(労働者派遣法26条1項1号)。したがって、派遣契約に自宅を含む事業所以外のテレワーク環境が指定されていない場合には、派遣先企業が派遣社員にテレワークを命じることはできません。
この場合は、派遣元企業と協議を行って、テレワークに関する合意をする必要があります。
始業時刻及び終業時刻は、就業規則の必要記載事項であり(労基法89条1号)これを変更するには、就業規則を変更するか、使用者と従業員が個別に合意する必要があります。
なお、もともと就業規則で業務都合による始業・終業時刻の変動が規定されている場合には、従業員に周知することで、時差通勤を導入できます。