A:労働者の疾患が業務上発症したと認定される場合には、労働基準監督署に行き、労働基準監督署長宛に、休業補償給付などの労災保険給付の請求ができます。請求できるのは、休業補償給付の他に、療養補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、障害補諸年金などがあります。 「業務上」かどうかは、直前に業務上,特段の出来事があったか、直前または過去6ヶ月間の労働時間、不規則勤務・深夜勤務の有無、緊張を伴う業務があったか等から総合して判断します。 また、会社には労働者の安全に配慮する義務があり、これを怠った場合には、会社への損害賠償請求が可能です。
A:配置転換が認められるのは、転勤予定の合意がある場合か、就業規則に明記された場合です。
これら合意や規定がある場合でも、転勤命令が権利濫用に当たる場合には、命令は無効となる場合があります。
配置転換をする業務上の必要性がどの程度あるか、人選に合理性があるか、配置転換をする動機や目的が正当か、労働者に著しい不利益が生じないか、労働者への事前説明があるかなどの諸事情を考慮して、権利乱用に当たるか否かが判断されます。
遠隔地への転勤であり、親の介護という家庭的・経済的事情があること、転勤により介護に重大な支障が生じること等の事情がある場合には、著しい不利益が認められるものとして、転勤命令が無効となる可能性があります。
A:残業した場合、管理監督者などを除いて、会社は残業代を支払う義務があり、支払を怠ると会社への罰則も設けられています。
また、深夜割増賃金は管理監督者を含む全労働者に支払う必要があります。
違法に残業代を支払わない会社に対しては、タイムカードのコピーが証拠となります。
また、出社・退社時刻を記載した日報や、毎日自分でつけた手帳のメモ、会社で使用しているパソコンのログオン・ログオフの履歴など、労働時間が分かるものが重要です。
残業中に会社から発信したメールも資料となります。
その他、就業規則や給与明細も重要な資料になります。
A:会社側の経営事情を理由とする整理解雇は、労働者に落ち度がないので、具体的な必要性や事情がなければいけません。
判例上も、整理解雇には厳格な要件を要求しており、
①会社の経営状況から労働者を削減する具体的必要性があるのか、
②整理解雇を回避するために、役員報酬削減などのコストカットや希望退職募集を募るなどの努力をしたか、
③整理解雇の対象者を適正で合理的な基準に基づいて選別したか、
④整理解雇にあたって労働者に事情を説明し、意見を聞いて協議をしたかなどの事情を総合的に検討して、解雇が有効であるか
を判断するとしています。
整理解雇に先だって、新規採用や給与引き上げをしたり、希望退職を募集しないまま突如として特定の人を解雇する場合には、解雇が無効となる可能性があります。
A:
労働基準法41条は、
「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には残業代等に関する規定を適用しないと規定しています
(ただし、深夜割増賃金は、管理監督者にも支払わなければなりません)。
「管理監督者」とは、
労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者とされ、肩書きだけではなく、
(1)職務内容、責任、権限、
(2)出退社の自由の有無、
(3)地位にふさわしい待遇の有無
等の実態を考慮して判断するものとされています。
課長の肩書きがありながら、
(1)経営方針に参画したり、従業員の採用権限がない場合や、
(2)自分の出退勤時間に裁量もなく、
(3)わずかな役職手当が付いているに過ぎない場合
には「管理監督者」に当たらない可能性がありますので、残業代を支払ってもらう権利があります。
自分が「管理監督者」に当たるか判断に迷う場合には、ご相談ください。
A:解雇は、就業規則に解雇事由が明記されている必要があります。
また「客観的に合理的な理由を欠き」「社会通念上相当であると認められない」場合は無効とされています(労働契約法16条)。仕事上の処理状況、失敗の態様や頻度、業務への影響、これまでの勤務成績、会社からの是正指導や注意等を全体的・総合的に考慮して、解雇が有効かを判断することとなります。
仕事の処理の能力が著しく劣っているとは考えられなかったり、ミスが業務上不可避であったり、業務に重大な影響がなく、会社がこれまで注意や指導をしていない場合、更には能力向上のために、教育的技術的指導を行っていなかったり、配置転換等を行い、本人に見合った職種に就かせる努力していない場合には、解雇が無効となる可能性があります。
解雇が無効とされ、労働契約が継続していると判断された場合には、解雇日以降も会社で勤務し,賃金を請求することができます。
A:会社による退職勧奨は,会社の「申入れ」にすぎないので,労働者が応じる義務はなく,勤務を続けるのであれば、断ってください。
会社が退職を迫り続けるならば,内容証明郵便で,退職勧奨を止めるよう通告して下さい。退職勧奨の手段・方法が非常識であれば,裁判所に対して差止めの仮処分や損害賠償請求をすることを検討すべきです。
アイデアやノウハウを不当に流出させた場合には、不正競争防止法による差止めや損害賠償請求も可能ですが、一旦流出した情報の使用差止めは、事実上、困難です。事前に社員と秘密保持および競業避止契約を結んでおくべきです。契約内容や締結方法は、個々の企業事に違いますので、弁護士にご相談下さい。
解雇、退職金不払い、残業代請求、労働条件の不利益変更、パワハラ・セクハラ等の問題が多いですが、訴訟にまで至るのは、解雇、退職、残業代請求が多いです。 パワハラ・セクハラについても、解雇事件や残業代請求事件、団体交渉に付随して問題になることが多いです。中小企業では、労務対策をはかり、従業員が納得できる運営を図ることで、労使紛争を予防できます。